
Atlanta, USA
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アトランタ市について;
アメリカ南東部にあるジョージア州の州都。市の人口は約42万人だが、アトランタ都市圏
(20郡)では約400万人、州人口は約820万人となる。アトランタは社会的に成功した黒人
が多く、黒人所有の大企業も多い。南北戦争に敗れ多大な打撃を受けたアトランタだが、
現在では高層ビルが立ち並び南部の中心的近代都市となる。アトランタの2大産業は、
コンベンションとツーリズム。
アトランタの主要訪問先であるBUREAU OF TAXICABS AND VEHICLES FOR HIRE
(タクシー&ハイヤー車警察局)に向かう。3階建ての重厚な外見だが、市の交通管理
関連の部署しか入っていないこともあり、職員の数は少なく感じられた。ディレクター、
Malachi S Hull(マラチS・ハル)氏はアメフト選手のような体格の持ち主で、2002年に現職
に就いたが、これまでは交通には全く関係のない部署(あるいは仕事)に就いていたとの
こと。父親は軍に長年務めたこともあり、政治的なコネと市警察と交友関係が広くあるよ
うに見受けられた。
まずはタクシーの管理体制や現状の問題点などを伺う。
●「おっしゃる通り、1980年に再規制してからは車両の台数は一定しており、現在1600の
メダリオン(タクシー開業許可証・・・同義語としてCPNCという言葉を使っていたので、
以下文章はCPNC、Certificate of Public Necessity and Convenience とする)と2500名の
運転手を当局で管理しております。この10年間では少なからず我々の管理体制も変化しま
したので、詳細をこちらの資料にまとめました。」
いただいた資料は80ページ程で、CPNCの説明や条件、タクシー業としての諸規則が書
かれている。再規制や規制緩和の問題点については触れていないので、その点を聞くと、
http://www.tlpa.org のウェブサイトから、それらの資料を得られるという。
(英語のみ。タクシーに関する様々な資料あり、各資料は会員価格で一部15~100ドル)
●「現在改善している部分として、ニューヨークやシカゴのようにCPNCの番号と車両
番号を全て同じにして、同じ番号のダブル使用を防ぐことや、車検制度のさらなる見直し
などがあります。」
マラチS・ハル氏との会談もこれから本題に入ろうとするところで、ちょうど今、
タクシーの定期車両点検を行っているのというので、それを見に行くために一同席をはずす。
建物内の、違反タクシー取締りパトカーや覆面パトカーの駐車場を通り抜けるところで、
一人の取締員から簡単な業務説明を受ける。取締員のほとんどは民間に委託された警察OB
で構成されているとのこと。取締員らの制服はまるで警察官だが、一般警察と区別するため
に黒のズボンを履いているという。覆面パトカーは見破られるので、最近では覆面取締員が
タクシーに乗って取り締まることもあるという。また、今行っている車両点検は各車両、月に
1回、1日10~15台と決められているとのこと。
建物に面する車道ではタクシーが数台、車両検査を受けていた。この時初めてアトランタ
のタクシーを観察する。CPNC番号が屋上灯と前輪フェンダー付近、後方トランクの3箇
所に表示されている。法人タクシー最大のCHECKER CABの車両があった。1947年に設立
されて以来、現在200台の車両を保有し、1日3000人以上の乗客があるという。アトランタ市
の1600台のタクシーのうち、300台が法人(フリート)、1300台が個人である。また、同じ
大手の法人タクシーのイエローキャブは危険地域で営業する車両が多いということで、全車
両防弾ガラスで車内を仕切っている。ジョージア州ではナンバープレートを後部だけに付け
るが、スピード違反や信号無視などは、後部からカメラ撮影をすることで違反車両を摘発。
所有者責任が問われる米国らしい。
車両点検に話を戻すと、まず点検項目として免許証、前月の点検合格ステッカー、ボディ
ー外観、ヘッドライト、ウインカー、ワイパー、メーター、エアコンなどがある。点検シート
には車両番号とともに改善/合格が記入される。主に外観検査で検査費用は1回25ドル。
排気やメーター作動の車検は6ヶ月に1回車検場で行う。6ヶ月に満たなくても、タクシー
&ハイヤー車警察局では抜き打ちで、車検を受けさせることができる。保険会社の圧力も
あるので、車検回数が増えることはあっても減ることはないだいだろう。ちなみにアトランタ
では8年ごとに車両を交換するが、これは需要と供給のバランスを考えて決められたもので
ある。
車両点検は続いていたが、ここで全員会議室に戻る。
以下に会談内容を項目ごとに整理する。
● 「規制は成功している。CPNC所持者が反対しているが、今後はさらにと規制強化
の傾向になるものと思う。」
● 「法人タクシーは無線、個人タクシーは客待ち・流しで営業しているようだ。
年収などの収入面は把握するのが難しいが、およそ300万円位で、都心でなければ
快適な暮らしができるだろう。労働時間の制約はないので努力をすればするほど収入
があがる。」
● 「自動車保険は対人200万円、対物100万円だが、これらをそれぞれ3000万円、1000万
円と変更する。他責事故(もらい事故)が多いが、休業補償などは請求できない。」
● 「2種免許の取得資格は18歳以上、申請時に普通免許取得後1年以上あること、米国市
民又は永住権(取得時より1年以上経過していること)、英語が話せて交通標記が理解
できること、犯罪歴について(審査あり)などがある。タクシー&ハイヤー車警察局に
よる一般・地理試験(各50点、合計100点)は70点以上で合格。」
● 「運賃は市議会が決定する。2004年9月現在は以下の通りでオリンピック以降変更は
ない。」
① 初乗り運賃1/7マイル(約240m)は2ドル
② 加速運賃は1/7マイル(約240m)は25セント
③ 待機時間は1時間18ドル④ 乗客2人目からは1人につき1ドル。
6歳以下の子供は除く。子供の場合は何人乗っても、
合計1ドル(大人1人分)と計算する。
⑤ 荷物による追加料金は無い
⑥ 障害者や60歳以上の乗客は20%割引
⑦ アトランタ国際空港からダウンタウンの19kmは所要時間約15分。定額運賃で
1人25ドル、2人26ドル(1人13ドル)、3人30ドル(1人10ドル)、4人40ドル
(1人10ドル)。ミッドタウンやダウンタウンから少し離れた住宅地バックヘッド
への定額運賃もあり、若干運賃が変わる。
⑧ ダウンタウンやミッドタウン内では定額運賃6ドル(1人増えるごとに+1ドル)
ハイヤー車や商用でのタクシーにもゾーン定額運賃が適用される。
⑨ 上記にはチップは含まれていない。
◇ 運転手として要求される条項と違反時の罰金
① CPNC証明や所定のステッカー等の常時表示、免許証携帯
② 最短ルート、または乗客希望のルートによる輸送
③ 運転手が乗客に酒・麻薬による泥酔、危険を感じた時は乗車拒否できる
④ 乗客の人種や肌の色、年齢、性別、宗教、体の不自由さなどの理由による
乗車拒否は一切できない
⑤ 領収書は義務ではないが、乗客の要望により発行する
⑥ 車両の規定人員を超える輸送はできない
これらの項目に違反すると、回数に応じて25ドル~100ドルの罰金。乗客への暴言、
暴力行為や暴走行為など悪質なものは、回数に応じて250ドル~500ドルの罰金が課せ
られる。毎週木曜日に公聴会、裁判が開かれる。弁護士、民間人を含む最高16名で
有罪、無罪を検察に勧告する。
乗客の権利として、きれいな車内と礼儀正しく適切なドレスコードの運転手、希望ルート
の選択、エアコン&ラジオの操作、車内禁煙、トランクの使用、運賃にたいする説明、領収書
発行などがある。
会談を終えて、事務室に案内してもらう。1600のCPNCと2500名の運転手の全てを管理して
いるというコンピューターを見せてもらう。運転免許更新やCPNCの更新、車検費用、会社名
等各種変更手続き費用はすべてここで支払う。「ドライバースダイジェスト」という冊子が
あった。アトランタの2か月分の各種会議やイベント情報を見て運転手が営業の参考にすると
のこと。
CHECKER CAB COMPANY<www.atlantacheckercab.com>のPresidentのRichard C. Hewatt
(リチャードC.ハワット)氏とTREBECO Inc.&BUCKHEAD SAFTY CAB Co.のPresidentの
Bradley K. Stone(ブラッドリーK.ストーン)氏と市内のレストランでタクシー業界の現状と、
管理される側の立場からみた現在の規制について意見を交換し合う。質疑応答文は省略する
が、会談の内容を整理すると以下のようになる。
会談が始まってすぐにでてきたのがタクシー&ハイヤー車警察局の局長のマラチ S・ハル氏
にたいする不満であった。CPNC更新料の100ドルや登録会社名更新料50ドルなど、前局長の
時に比べて値上がりしたり、支払う名目が増えているとのこと。また、局との定例協議会では
、局からの一方的な命令調の説明で終わってしまうという。前局長とは常に良好な関係を保っ
ていたというが、局長によっても規制内容が若干変わるのだろう。
● 現状の問題点の一つとして、アトランタでは駐車場が多い上に料金も安く、市外から
乗り入れる車がタクシー利用の減少につながっている。確かに都心で1ヶ月の月極め
駐車場で100ドルもかからないのは安い。これを市に働きかけての値上げ、さらにタク
シーレーンの設置なども希望している。
● 大企業が集まるアトランタの地域性を活かしての広告に力を入れたいという。
STARBUCKSコーヒーのカップを屋上灯にしたり、車体全面広告にすることを検討
している。
● イラク戦争後の石油値上げはこたえている。運転手の減収を防ぐため1回の乗車につき
50セントを課金する案もあったが、それをするとチップの減少につながるのでやめた。
1?あたり50セントぐらいなので日本のLPガスと同じ値段だとしても、アトランタの
タクシーで主流のフォード、GMS、ミニバンなどはおそらく日本のタクシーよりも燃費
がかかるだろう。
アトランタのタクシー試乗調査。流しのタクシーはたまに見かける程度。ホテルで客待ち
しているタクシーをより多くみかけた。CNN本社やコカコーラ本社、モール街のアンダーグ
ラウンド付近の路上ではタクシーのみ駐車可という標識を見た。CPNC番号0001という記念
すべき車両や労働者デモにも遭遇した。
アトランタもアメリカの多くの大都市に見られるように、「スパゲッティー・ジャンク
ション」と呼ばれるほどのハイウェイが張り巡らされている。
New York, USA![]()
ニューヨーク市について;
1919万人のニューヨーク州の中で、ニューヨーク市が808万人、市の中ではマン
ハッタン区156万人、ブルックリン区247万人、クイーンズ区222万人、ブロンクス
区136万人、スタッテン島区45万人となる。
世界的な金融・商業・経済・文化の一大中心都市である。ニューヨーク市にアクセスでき
る空港は3つある。 クイーンズ区に2つ、ニュージャージー州ニューアーク市に1つの国際
空港がある。
アトランタから空路、我々が到着したのはニュージャージー州にあるニューアーク市国際
空港。ニューヨーク=イエローキャブというイメージが定着しているが、ここはニュージャ
ージー州なのでタクシーは白を基調としたものが多い。黄色の車も数台見かけた。タクシー
乗り場では係員が運転手と乗客の中継ぎをしてくれる。係員のボックス席の裏に、マンハッ
タンや各方面の定額運賃表が貼られている。係員に聞いてもすぐに調べてくれるが、割引、
割増料金などの詳細はすべて運賃表に記載されている。
何台かに分けてタクシーを乗ろうとしていると、大型のワゴンのタクシーが来たのでそれ
に乗り込む。運賃表によると我々の滞在するマンハッタン58丁目までは50ドル。マンハッ
タンへの高速通行料とリンカーントンネル通行料、そして荷物や大型車で5人乗りということ
考慮して、チップは含めず80ドルだという。
ニューアーク市国際空港に乗り入れているタクシーをすべて管理するのは、NEW WARK
TAXI COMMISSION TEL:973-733-8912 ELIZABETH TAXI COMMISSON
TEL:908-820-4000 (又は下4ケタ4178)の2つ。
の2つのコミッション。定額運賃の例として、マンハッタンまでは40~60ドル、ラガーディア
空港までは65ドル、JFK空港までは75ドル、ニュージャージー各地へは15ドルぐらいから
で多いのは40ドル前後の地域、カジノやミス・アメリカ開催で有名なミニラスベガス、
アトランティックシティーへは150ドル(空港から160kmぐらいで2時間ほどかかる)
エジプト人の運転手は80ドルと言ったものの、料金に不満を感じてか、チップ込みで100
ドルというようなことを下手な英語で言い出した。マンハッタンまでは約25kmであまり
混雑していなく40分ほどで到着。チップを入れて95ドルを渡す。渡した後もやや不満な様子
があったので、コミッションに車番を告げて話しをするというと一転して態度が変わった。
マンハッタンへの通行料については、ニュージャージー州からのリンカーントンネルが
6ドル、マンハッタンからは通行料なし。今回通らなかったが、ホーランドトンネルもニュ
ージャージー州からのみのチャージで6ドル。ジョージワシントン橋なども一方通行チャージ
で、これらは車両数量規制の一環だろうか。E-ZPass(日本のETCと同じ)を付ければ20%
ほど割引になる。マンハッタンには15の橋と4つのトンネルがあるが、朝夕のラッシュは通常
の5倍近い時間がかかることがあるらしい。
マンハッタンのタクシー試乗調査。とにかくあらゆるところでイエローキャブ(以下文章
ではニューヨーク市のメダリオンタクシーのことをさす)が走っている。ホテルや大通りで
客待ちしている車両もある。主要観光地やターミナル駅、デパート、病院などにはタクシー
乗り場がある。白の円柱型ボックスに黒と黄色でTAXIと書かれていて遠くからでも分かりや
すい。絶えずタクシーが出入りしている。今年6月に25%も値上げしたにもかかわらずなか
なかの盛況ぶりだった。
ボンネットにはLICENSED TAXICABのメダリオン、メダリオン番号として「7K50」※例
の4ケタ番号が屋上灯やドア、車体後部にはっきりと表示されている。車両は外見からすると
きれいだが、車内は少し汚れていたり、エアコンが付いていなかったりする。(実際は付い
ているのだが、運転席のみ。後部座席は透明ボードで仕切られているので全くエアコンが
きかない!)エアコンスイッチが後部座席に付いている車両があり、これは合理的。
マナーについては乗降車時のあいさつは望むべくも無い。運転手と話すことは透明ボード
もあって難しい。もとより運転手のほとんどが移民で、全米一交通量が激しいといわれる
マンハッタンで運転に集中しているため話しをする余裕もないだろう。乗り込んでからメータ
ー操作に1分以上かかる運転手や、メーターが回らないまま発車し、回らなかった分1ドル
余分にくれという運転手もいた。1997年から約7年間、去年で打ち切られた乗降車時の、有名
人やTVキャラなどの声を用いたアナウンスは「シードベルト」着用、「忘れ物」をなくすこ
とを促していたが運転手からそれに替わる言葉を聞くことはできなかった。
朝夕のラッシュや雨天時に空車を見つけるのは難しい。停車した空車タクシーを奪い合う
光景を見るぐらいだ。こんな時は2002年に誕生したニューヨークウォータータクシーを利用
してもいいかもしれない。2階に分かれた高速船で定員70人ぐらい。明るい黄色の船体が
イエローキャブを思わせる。渋滞のないマンハッタンのウォーターフロントをかなりのスピ
ードで走る。乗降船時にやや時間がかかるのはしょうがないだろう。2日間乗り放題で大人
1人20ドル。60歳以上のシニア料金は子供料金と同じで2日間乗り放題12ドル。これらの料金
は観光用で通勤用ではルートや料金が異なる。通勤の足として、またマンハッタンの主要観光
地巡りにも便利。初めて乗る観光客は摩天楼を眺められるので、乗船そのものが観光となる。
イエローキャブが市民や観光客に身近なのは、お土産やエンパイアーステートビルに入る
ことでも知ることが出来る。お土産ではイエロータクシーのミニカー、マグカップ、キー
ホルダーなどの商品がたくさん置いてある。エンパイアーステートビルの屋上からは縦横
無尽に駆け巡るタクシーの姿が一望できるし、建物で借りることのできるオ-ディオ案内は
タクシー運転手が各観光地を案内する内容になっている。
特にタイムズ・スクエア付近では自転車タクシーもよく見かける。2人乗りで黄色の車体が
多い。乗客が丸型になるように座って運転手と一緒になってペダルを漕ぐ6人乗りのものも
ある。
映画「タクシードライバー」でロバート・デニーロが運転する旧型チェッカーキャブを
10番通りで偶然見かけた。現在のタクシーは4人乗りの新型セダンが主流。大型ワゴン車も
時々見かける。広告テレビモニターを設置しているタクシーが1000台あるらしいが、それに
は乗ることができなかった。
タクシーの広告はブロードウェイ劇場関係、各種商品、航空会社など10台見れば10台とも
別の広告というぐらいに豊富にある。ストリップ・バーのような広告宣伝もあるのがニュー
ヨークらしい。
イエローキャブでの定額観光は、観光局によると確立されていないとのこと。夕方からなら
リムジンで「1時間のシャンパンツアー」が1人23ドル、
朝から夕方前の「4時間のVIPツアー」は1人75ドル。2階建て観光バスは3ルートがあり、
組み合わせにもよるが24時間乗り放題で37ドル~49ドル。
ニューヨークでのタクシーにも慣れ親しんできたところで、いよいよ今回の視察の主要訪問
先である、The NYC Taxi and Limousine Commission(以下略してTLC)へと向かう。
かつてのツインタワーの跡地、グラウンド・ゼロから南に少し下ったところにその建物が
あった。建物の近くにNYPDのパトカーが路上駐車していた。余談になるが、NYPD( New
York city Police Department )のパトカーにも書かれている標語は “Courtsy ”
“Professionalizm”“Respect”「礼儀正しく」、「プロ意識で」、「敬意を持って」、
というものだ。日本でのタクシー乗務員をあるべき姿を簡潔に表している。
建物玄関での手荷物、ID確認を終えて上階の会議室へ案内される。過去のメダリオンの
展示や市からの表彰状などを見ながら待っていると、3名のスタッフが我々を迎えてくれた。
広報担当:ALLEN J. FROMBERG(アレンJフロンバーク委員)
政策担当:BARBARA SCHECHTER(バーバラ・スケッター委員)
政策企画主任:ANDREW SALKIN(アンドリュー・サルキン委員)
ここではTLCからのブリーフィングの後に質疑応答という形式で会談が進んだ。会談内容
をそのまま残すような形で要約する。まずはTLC組織とタクシー業界の概要について。
● 「TLCは1971年にニューヨーク市のタクシー&リムジンの需給調整のために設立され
た責任ある政府機関です。TLCはおよそ400人のスタッフが働いており、様々な部門と
局に分かれています。9人の委員会メンバーのうち8人は無給であり、給与を得ている
委員長の Matthew W. Daus(マシュー・W・ダウス)は定期的な委員会ミーティングの
議長を務める代表者でもあります。9名のうち5名は市議会、4名は市長によって任命さ
れます。委員長が本日は皆様に是非お会いしたいとのことで現在こちらに向かっている
ところです。」
「委員長は2001年6月にルドルフW・ジュリアーニ市長によって指名され、議会の承認に
よって同年8月22日に就任しました。2003年7月に、ブルームバーグ市長に変わってからも
、同じく指名を受け議会の承認を受けて就任しました。TLCはタクシーを含めて一日150
万人を運ぶ5万6000台の乗り物の規制、10万人のドライバーの各手続きや講習、13,000台
(実際は12,189台だが13,000台まで増車可能とみている)のメダリオンタクシーの1年に
3回の安全点検と違反者に対する傍聴会を頻繁に行っています。全米でも最もアクティブ
な許認可監督官庁の一つといってもよいでしょう。昨年は訓練されたスタッフのもとに
全ての情報が集積される311市民タクシー直通電話を新たに設置しました。また、各種
手続きや傍聴会、裁判における所要時間も画期的に短縮しました。」
● 「1930年からNYCの人口は増え続けているがタクシーはそれほど増えていません。
イエローキャブの運転手は現在約40,000人ですが、メダリオンは12,189なので、1台の
タクシーに3.2~3.3人の運転手がいることになります。
メダリオンと車両を所有している会社(フリート)は全体の20%。個人でメダリオンと
車両を所有している者も全体の20%。他には、ブローカーがメダリオンを所有する形態
が最近増えています。メダリオンは通常3年単位で貸し借りします。1ヶ月単位でも借り
られるし、1日単位(昼;105ドル 夜;115ドル)などでも貸し借りしています。これ
らは全てTLCが規制しています。」
メダリオンを持つのはアパートを持つのと同じで1つの資産である。1年に1回更新料1,000
ドルかかる。メダリオン価格は個人には28万8000ドル(約3,168万円)、法人には33万2000
ドル(約3,652万円)が相場となっているが、価格は市場に任されている。名義変更料は売買
価格の5%位らしい。
近年価格が上昇したのはそれだけ需要が多いからだと思われる。今後の増車予定である
13,000台から現在の12,189台を引いた(13,000-12,189)×約30万ドルもの収入が市に入るこ
とになる。本年度からハイヤー車への規制を強化しているのも収入面とは大いに関係している
と思う。
● 「ハイヤー&リムジンの規制は緩やかです。そのためか、ここ10年ほどでも23,000台
から40,000台に増えています。車のタイプ・車検・ガスや価格規制はなく、各事業者は
サービスで勝負する自由競争になっています。ホテルに客待ちできるようにワイロを渡
すなどの違法行為を犯すものまで出てきています。タクシーも含めてマンハッタン外の
各区(人口ではマンハッタンの5倍)における規制を特に強化していきます。」
会談の途中だが、マシュー・W・ダウス氏が委員長室に着いたということなので一同挨拶に
向かう。委員長は40歳前半ほどの年齢だと思われる。若くてハンサムでいかにもやり手のビジ
ネスマンという印象をうける。自己紹介の後にさっそく日本のタクシー業界についての質問が
あったので、日本が規制緩和をした後に、特に大阪がタクシー台数過多と価格の多様化でタク
シー苦難の状況にあることを説明すると大きな興味を示していた。その後、規制緩和・強化の
例をこれまでのKUK海外視察の経験を交えてしばらく話しをしたが、委員長は別の会議が迫っ
ており、残念ながら退席しなければならないということで、10分ほどの短い会談時間だった。
会議室に戻り、次にメダリオンのさらに詳しい説明と2種免許やTLCが発行する免許、違反者
への罰金などについて話を伺う。
● 「1988年にメダリオンオーナーが次々に引退して売買が盛んになり、複数のメダリオ
ンを持つ者が出てきました。メダリオンは個人としては1つだけ、法人の場合はいくつで
も持つことができます。メダリオン取得審査ではかつてよりも厳しい身元調査が行われ
ます。また、オーナーも運転すべきだという風潮が高まり、1991年以降はオーナーでも
210直(1直は9時間)を目安に運転するように指導しています。」
● 「2種免許は普通免許からTLCの講習を受けることによって切り替えることができます
。英語のテストや合計24時間(昨年までは80時間)の研修を受けた後に試験があり、
合格者には、Eクラスの免許(仮免許だが運転はできる)が交付されます。
合格率は53%。仮免許取得後から1年後に4時間の講習を受けてはじめて正式な免許が
交付されます。2年目以降講習を受ける必要ないが、2年ごとに免許を更新しなければな
りません。」
「2004年6月からはスペイン語でTLCの講習を受けられる体制をつくりました。現在37名
の受講者がいます。試験の合格率は53%ですが、このなかには英語で受験した者、2回
以上受験している者が含まれます。」
● 「違反者についての罰金についてですが、ご質問の10ドル以上の過剰請求など、TLC
の基本的な規則に違反するものは免停の上、1回目で200~350ドルの罰金が課せられま
す。24ヶ月以内に2回目があると350~500ドルの罰金、36ヶ月以内に3回目があると免許
取消処分になります。取消になると1年間は申請できなくなり、申請時も特別委員会の
判断を仰がなければなりません。」
● 「ドラッグテストは連邦政府が行うドラッグテストと同じ内容のものを実施します。
尿や髪の毛を採取します。これにより陽性反応が出て免許を抹消される者は1%にも満
たない数字です。」
● 2004年3月から値上げしたニューヨーク市のタクシー料金について。
参考として注釈※に値上げ前の料金や解説をつける
① 初乗り運賃1/5マイル(約320m)は2ドル50セント※2ドルから
② 加算運賃は1/5マイル(約320m)は40セント ※30セントから
③ 停車時や渋滞時のスロー運転時は2分ごとに40セント ※30セントから
④ 平日の4:00PM~8:00PMはプラス1ドル
⑤ 8:00